相変わらず高度医療&救急はドラマティックでございます。
どんな奇跡も飼い主さんがどこで線引きするか。
諦めない人しか奇跡はみられないけれど、やっぱりだめってことも多いからこそ
奇跡なのであって、自分だったらその賭けに出られるかどうか、
貯金どころか借金生活になってしまった今、各方面痛切に身に沁みます、
飼い主さんの思いを受けると、なんかこっちも涙目になります。
ほんとステキミラクルすぎて潤むわ。素晴らしい飼い主さんでよかったね。
※本文と画像の猫さんとは関係ありません。
かかりつけに匙を投げられた、説明に納得がいかない、
何かできることがあるんじゃないか、
来院する理由は様々ですが、飼い主さんの熱意には本当に頭が下がります。
一方で、真逆な人の方が大半でして。
私から見ても「明らかにこれおかしいな…」と思う外貌でも
行動でも、何も思ってない飼い主さんに言ったところで余計なお世話です。
「かかりつけはなんで突っ込まないんだ…気づいてないのか…」
まさかの気づいてないパターンは多いので困るんですけど、
恐らく大半の飼い主さんがそこまで犬猫に金も時間もかけられないと思う。
検査したところで先の治療に進まないなら、知らぬが仏なのかもしれない。
ぎりぎりまで嫌いな病院へはいかないですむし、医療費もかけずに逝ける。
正直人間の自分のこととなると、「ちょっと精密検査したほうがいいよ」
なんて言われたら、確かにうざいことこの上なし!
その道で達観しちゃった人なんて、どっかと腰据えてどーんと受け止めて
笑い飛ばしてくれるけど。小物な私はどうにももやもやする。
「多分こうなるな」
それを予測して動いて日々看護するわけだから、当然当たる確率は上がる。
やっぱり傍から見ていてもやもやの少ない人っていうのは、
私の中での話ですけどね、「人の話を聞かない」んじゃなくて
「心をフラットにして人の意見を聞きながら、自分も持ってる人」
なんだよな。
文章にしてみたらなんにでも通用する話でしたね。平凡な。
それが、本人の健康の話ならどうでもいいんだけど、
動物の場合その子のその先が想像すると切なくなるから、
私は諦めて京都の三猿になるしかなくなるんだけどな。
まったく聞く耳持たずでも、聞いたうえで「うちはここまで!」って線引きを
明確にするのも、それはそれでもう十分に潔いんですけど。
ちょこっちょこと聞きたいところだけ聞こうとしても、勉強と同じだと思いますよ。
一部の解答だけ知っても意味がない。問題はそこじゃない。
消えゆく命を奇跡を信じて諦めない飼い主さんの想いに突き動かされて
一緒に頑張ることもあれば、まだ●●さえすれば生きられるのに…という
説得をできずにつれて帰る姿を見送る、救えず歯がゆい思いをすることもある。
ま、私でなくても獣医療従事者なら誰でも味わう思いだと思うんですけどね。
依頼されて初めて、代行するだけなんですよね。
そうじゃなかったら手も出せないんですよ。
人間みたいに救う義務が何かあるわけでなし。
価値観それぞれだし。
縁あって、飼い主さんの熱い思いあって、
させていただける方に全身全霊でお応えしたい、と改めて思うのでした。