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Channel: わんこと淡水&海水アクア、家庭菜園とか。
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動物看護師のお仕事4

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公休日だからって連続アップしてるけど動物看護師のお仕事シリーズ。
易しい説明。
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先日のシリーズ記事は麻酔導入まで。
自発呼吸(自力での呼吸)を止め、人工呼吸器につなげて麻酔ガスに切り替え、
混合エアーと麻酔ガスを供給し続けます。
心電図やクリップ、チューブ途中でのセンサー、体温計、血圧計など
いろんなセンサーがつなげられ、モニターで見ながら進めます。
 
異常があればアラームが鳴りますが、これだけに頼るのはもちろんキケンです。
見た目や五感フル活用で取り組みましょう…ってのは以前の麻酔管理の
セミナーでも言ってた←
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もちろん点滴も流れ続けています。
通常の10倍近く流したりもします。仮死状態になるようなもんなので、
循環が悪くなるのを防ぎます。当然長時間に及ぶオペのときや尿に関わる
何かがあるときなど、事前に尿バッグ(以前のシリーズ記事でご紹介済み)を
設置して、膀胱パンパンにならないようにします。命に関わります。
 
なので、尿量、点滴流量、点滴内容についても頭に入れておきます。
 
 
それらに常に意識を配りつつ、手術する範囲をびやーーーーっと毛刈り。
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毛はばっちいものですから、とります。ときにカミソリとかでも。
うちではトリマー定番のスピーディックってバリカンを使いますが、
刃は0.1mmです。
(普通トリミングで使うのは1mm、ショーで0.5mmあたりが最小)
毛を刈ってるそばから、掃除機でびゅーと吸い込んでいきます。
ばっちいものですからオペ室に舞ったりしたら大変です。
 
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で、獣医さんがわしわしわしわし…と念入りにひじまで手洗いをしている間に、
大抵は看護師が消毒をします。
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これは分院画像だからボンビークッションw
 
うちの場合は、ヒビスクラブ、ヒビテン、ヨードの3種類を用いています。
 
クロルヘキシジンやヨードは療法用シャンプーでもおなじみですね。
濃度によって使い分けがいろいろできます。
 
その後アルコールで拭き取ったりしますが、アルコールは濡れてるときには
殺菌終わってません。すわーっと冷たい感じで乾いたときが、殺菌完了です。
 
別の保護犬さんの消毒後。
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またまたボンビークッションw
 
オペ用の術着への着替えを手伝います。
 
無滅菌範囲の不潔野(や)と呼ばれる範囲は、手術で直接触れない人間が
触ります。術着はヒモがついていて、決して術着に触れないようにして、
そのヒモだけを結びます。
着せてる様子を写真撮りたいと思いつつ、オペって当たり前ですが
マジですので今度やらせ写真で解説してみたいと思いますw
 
 
 
 
で、動物もオッケー、獣医師もオッケー、と準備整ったら始まります。
 
 
各種機器のスイッチを切り替えたり、チューブを機器につなげたり、
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無影灯↓と呼ばれるライトの調整をしたり
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ドレープの下のわんこの顔とか触るのは、
すべて清潔野以外を触れる看護師がやります。
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この紙の上で、手術する部分だけ紙に穴をあけ、皮膚とずれないように固定し
手術が行われています。
 
麻酔かかってると目が半開きになって乾燥するので、眼軟膏塗ったり、
体温計とか血圧計とかうまく測れて無いと巻きなおしたりします。
 
 
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「あれ持ってきて」「これつけて」
できる看護師は予測して前もって準備します(泣
できる看護師はよくわからん言い方されてもニュアンスで察します(泣
頑張れ私←
 
後は、オペ内容によりCアームでレントゲン撮りながら、とか
MRIに移動して撮像して、とか合間や前後で挟むことも。
脳の緊急オペや椎間板ヘルニアなど、そのまま検査からオペに移行することも
あります。そのほうが麻酔が一度ですみます。
 
ただ、この形はうちの長が理想とする形でできたもので、
なかなかMRI検査→オペのスムーズな流れは動物の場合、
まずやれるところはないと思っていただいたほうがいいです。
始め私はそれが普通と思ってたけど…
 
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あーびっくりしたー

麻酔から覚めると犬は結構ギャン鳴きします。ふらつきます。当然です。
しっかり覚醒し、また状態によっては引き続き安定まで
管理する必要がありますので、電波を飛ばす式の心電に付け替えて、
犬舎の中でゆっくりしてもらいます。よく観察もして、
いわゆる看護にあたります。
 
オペ後には、基本はICUに入れて管理します。
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うちの本院にあるこの心電のは4匹まで入れられますが、
ここらへんもない病院は30分おきとかこまめに看護師がTPRと呼ばれる
体温・心拍・呼吸数のセットを測ったり数えたりして記録します。
 
研修だけ行った、とある超有名病院は、これら全部アナログでやってました…
そこも重篤患者だらけですが、その分看護師の数も20人くらいいましたので。
せっまい空間に…
 
うちの場合、これらの心電は受付と、スタッフルームにもモニターが
備え付けられています。より多くの目で看護できます。
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というわけで、長い割には内容は超ざっくりオペシリーズ。
本院の場合で解説してますので、どこの病院にも同じものがあるというわけでは
ありません。よそにあってうちにないものもあるでしょうし、
結局は道具をそろえるっていうのは、何をやりたいか何をしているか、に
よりますので。
 
スタッフのやりやすさ、犬猫の快適さ、衛生面、飼い主に請求される医療費…
さまざまなことによって設備投資は決まってきますので、何がいいとか
悪いとかではない、と思います。
 
うちの病院の場合は、救急だから緊急オペにもなるし、
それが必要な子っていうのは感染が命取りだし、
高度医療だから一般病院にない設備もあるし…
その分本院は一般病院とは金額が違います。
それに見合った人材と、24時間管理です。
 
一般病院ですむものであれば、もちろんかかりつけへの受診をすすめます。
そこは役割分担をきちっと飼い主さんにも伝えますし、
飼い主さんご自身も賢く一般診療(一次診療)と二次診療を
使い分けてみてください。
 
 
というわけで、私がご紹介する院内設備が、「どこも同じではないですよー」
ということはお間違えなく。


そのうち続く。

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